宗次郎さんの音楽との出会い~そして、素晴らしき音楽の世界へ<第5話>

「宗次郎さんの音楽との出会い~そして、素晴らしき音楽の世界へ」
<第5話>

 宗次郎さんの音楽との出会いがきっかけとなり、民族音楽やニューエイジ・ミュージック全般を好きになって行き、オカリナの演奏から、作曲や鍵盤楽器演奏も本格的に学び始めた僕。音楽系大学を目指して奮闘する日々が続いていました。

 ただ、いくつかネックがありました。

 当時、音楽の大学は、クラシック音楽や現代音楽を学ぶカリキュラムの学校がほとんどで、僕が志すニューエイジ音楽を学べるような、自由な学習環境の学校を探す必要がありました。
 また、入試でクラシックのピアノ演奏の実技試験が課されるのが通常だったため、オカリナ・ケーナの演奏や、鍵盤楽器とはいえエレクトーンしか弾いたことがなく、ポピュラー音楽の理論に基づいた演奏しかできない自分が、受験できる学校を探す必要がありました。

 それらの条件を満たす学校が、大阪芸術大学の音楽学科でした。

 今でこそ、クラシック以外のジャンルの音楽や、ピアノ以外の楽器を演奏する人にも、広く門戸を開いて、受け入れている音楽系大学は多くなりましたが、当時は大阪芸大くらいで、稀少な存在でした。そういう意味では、時代を先取りしていた大学だったと言えます。

 オープンキャンパスで大阪芸術大学を訪れ、南河内の山々が一望でき、豊かな自然に囲まれた環境と、自分が学びたいジャンルの音楽を自由に追求できる学習環境に惚れ込み、志望校に決めました。(とは言え、入試では音楽の専門試験・音楽理論や基礎的な実技試験が課されるので、引き続き音楽の勉強に取り組みました)

 受験勉強の一方で、オカリナやケーナも練習し、高校3年生になりました。

 そして、1995年春。宗次郎さんがオーケストラと共演するコンサートが開かれると知り、足を運びました。

 1995年4月28日金曜日、大阪ザ・シンフォニーホールへ。
 僕が聴きに行った、通算3度目の宗次郎さんのコンサートです。

 この日、宗次郎さんのオカリナによる、世界初のオカリナ協奏曲「INTO THE SILENCE」の初演コンサート『風・大地・緑の歌』が開催されました。

 そのオカリナ協奏曲の他、アルバム『木道』などから、宗次郎さんのオリジナル曲のオーケストラアレンジバージョンや、オカリナ&オーケストラ版「コンドルは飛んで行く」などが演奏されました。

<この日のコンサートの曲目>
・星ふる夜に(宗次郎作曲、岩代太郎編曲)
・交響詩『自然との対話』(宗次郎作曲、岩代太郎編曲:自然三部作の曲をもとに、岩代太郎さんによる交響詩化・オーケストラアレンジ版)風人~月の下で~凪~故郷の原風景~水の妖精~風人~水と土への祈り
・交響詩『中央アジアの草原にて』(ボロディン作曲:原曲の管楽器のパートを宗次郎さんのオカリナが担当)
コンドルは飛んで行く(ダニエル・アロミアス・ロブレス作曲、伊藤辰雄編曲)
・交響詩『わが祖国』より「モルダウ」(スメタナ作曲:原曲のまま。宗次郎さんは演奏には参加せず休憩)
・オカリナ協奏曲~静寂の中へ『INTO THE SILENCE』(岩代太郎作曲)

 このオカリナ協奏曲「INTO THE SILENCE」を作曲されたのは、後に大河ドラマ『葵・徳川三代』『義経』や、朝ドラ『あぐり』、映画『レッド・クリフ』などの音楽で大活躍される、作曲家・岩代太郎さんでした。

 フル・オーケストラの中で響き渡る、宗次郎さんのオカリナの音色も見事でしたが、何より、岩代太郎さんの壮麗なオーケストレーションの素晴らしさに心打たれました。

 この頃を境に、僕はオカリナをあまり吹かなくなり、作編曲の方をより重点的に学んでいくようになりました。

 宗次郎さんのCDや、民族楽器の笛の音色は相変わらず大好きでしたが、オカリナの演奏者としては、自分に限界を感じるようになりました。
 僕の中で、宗次郎さんのオカリナがあまりにも偉大すぎて、自分自身のオカリナの腕前が、どんどん上手くなってきていたとしても、その音楽性や演奏上の表現・テクニックは、あくまで宗次郎さんのコピーでしかなく、そんな宗次郎さんの影響下でしかない自身のオカリナの演奏を続けて行くよりも、音楽家を目指すうえで、もっと自分自身の音を追求して行かなくてはいけない、自分自身の音楽性を、楽曲を生み出して行かなくてはいけないと、強く考えるようになりました。

 折しも、宗次郎さん以外の様々なアーティストの曲を聴くようになり、作編曲やエレクトーンの演奏を本格的に学び、受験勉強が熱を帯びて行く中で、やがて僕は、オカリナを手にとることを辞めました。

<つづく>


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※この時のコンサートのチラシ、チケット、パンフレット。
 このコンサート『風・大地・緑の歌』は、東京、名古屋、大阪の3公演が実施され、東京が4/13、名古屋が4/24、大阪が4/28でした。演奏を担当したオーケストラは、東京が東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団(東京芸術劇場)、名古屋が名古屋フィルハーモニー交響楽団(愛知県芸術劇場)、大阪が大阪センチュリー交響楽団(ザ・シンフォニーホール)で、指揮は3公演とも朝比奈千足さんが担当されました。
 チケットを見ると、座席は1階補I列21番となっています。ちょうど宗次郎さんの正面当たりの座席で、すごくいい席だったのを覚えています。
 実はこのザ・シンフォニーホール。2年後の大阪芸術大学定期演奏会で、自分自身がステージに立つことになり、何かと縁のあるホールとなるのですが、この時はまだ、そのことを知る由はありませんでした。

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※パンフレットには、楽曲解説などが詳しく載っています。岩代太郎さんの直筆譜の一部も!

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※宗次郎さんと岩代太郎さんと朝比奈千足さんの対談・写真も載っています。岩代さん、若い!
 ちょうどこの年、阪神淡路大震災が起こった直後ということもあり、やさしい音楽や力強い音楽で、メッセージを送りたいという意気込みが語られています。

☆この時のコンサートで披露された、伊藤辰雄編曲版『コンドルは飛んで行く』の演奏です。

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プロフィール

アシタツ Ashitatsu

Author:アシタツ Ashitatsu
音楽家:作曲家、ヒーリング・ホイッスル奏者、キーボード奏者

【演奏楽器】
ティン・ホイッスル
ロー・ホイッスル
キーボード・シンセサイザー

1977年生まれ。
大阪府出身・在住。
大阪芸術大学音楽学科卒業。
大学卒業後、癒し系音楽(ヒーリング/ニューエイジ・ミュージック)の作曲活動を行う。
2012~2015年には、ボーカロイドを使った楽曲も制作。

現在、ヒーリング・ホイッスル(ケルト笛のティン・ホイッスル&ロー・ホイッスルによる癒し系音楽)の楽曲制作・演奏などを中心に活動中。

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